【飼育方法】ニホンアマガエル(Japanese Tree Frog [Hyla japonica])【両生類】

一般的に「カエル」と聞くと最初に思い浮かぶのは緑色の小さな姿かと思います。実際はヒキガエルはもちろん、ヤドクガエルベルツノガエルなどその種類は勿論、色合いや大きさも豊富な生き物です。

今回はそんな中でも一番日本で一般的で有名なニホンアマガエルの生態と、その飼育方法について紹介します。

 

ニホンアマガエルはどのような生体なのか

ニホンアマガエルは北海道から本州、さらに南下した九州や四国まで、全国幅広い地域に分布していて、その 分布の広さと認知度から前述した通り『カエルニホンアマガエル』と頭に思い浮かべる人がほとんどでしょう。実際、カエルのイラストデザインなどはほぼニホンアマガエルをモチーフとされています。

その名前から『日本のみに生息している』と思いきや、中国北東部・朝鮮半島、またロシアの一部などでも見られ、さらには新潟県から船で1時間程度の場所にある佐渡島などの離島でも、ニホンアマガエルが生息しており、その数と分布地の広さに驚かされます。

また、英名が『Tree Frog(ツリーフロッグ)』である事からもわかるように、地上棲ではなく樹上棲の生き物です。

 

そんなニホンアマガエルの体長はおよそ2cm〜4.5cmほどですが、アンコウやカマキリと同様に雌(メス)が雄(オス)よりも大きいため、雄は4cm以下であることがほとんどです。

また、人間の感覚で言うと少し不思議に感じますが、指の数が前足と後ろ足で異なり、前足が4本、後ろ足が5本あり、非常に指が長いです01)人間がもし同じ長さの指があるとしたら指だけで顎から頭までの高さと同じくらいの長さがあります

さらに、長いだけではなく指自体の可動域も広く、場所によっては180度開く指もあり、それぞれの指先に吸盤がついていてガラス面や木などに張り付けるようになっていますが、この吸盤は顕微鏡で見ると細かな溝がたくさんあり、その溝の部分に無数にある孔から出る分泌液で接地面との空間を密閉し、壁面との摩擦力を利用してくっついたり、そのまま垂直移動できるようになっています。

 

ちなみに、人間が平泳ぎする時とは違いカエルが泳ぐ時には前足を使わず後ろ足のみで泳ぐため、水かきは後ろ足にしかついていません。

また、一般的なカエル同様ニホンアマガエルも鳴きますが、鳴くのは全て鳴嚢(めいのう)のあるオスだけで、大まかにわけると二種類の鳴き方があり、一つは繁殖期である春などにメスに自分の存在を知らせるための『広告音(こうこくおん)』。もう一つはアマガエルの名の通り雨が降りそうになると鳴く『雨鳴き(あまなき)』、または『レインコール(Rain Call)』です。

これらの鳴き声は基本的なものは似ていてもそれぞれ個体ごとに微妙に違うので、複数匹いると不思議なメロディを奏でてくれます。

 

苦手な人が見ると気持ち悪いと思われる事がある両生類ですが、知れば知るほど不思議な魅力があるのが生物の素敵なところですね。

 

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ニホンアマガエルの特徴と体色について

カエルと聞いて一般的に一番最初に思いつくイメージがニホンアマガエルですが、細かなフォルムや色あいなどについてはなんとなくしかわからない場合もあるかと思いますので、せっかくなのでぜひ細かい特徴も含めて知っていただければ幸いです。

まず、ニホンアマガエルはツノガエルなどのように頭上に突起はなく、多くのカエルと同様に全体的にエダマメのような丸々した体つきをしています。 眼はヤギやヒツジなどの有蹄類02)ゆうているい。文字が表す通り、蹄(ヒヅメ)がある哺乳類の事 のものに類似していてやや菱型を帯びた楕円で、瞳の色は焦げ茶、その周辺を金茶が囲んでいます。

一般的にはニホンアマガエルの体色は緑ですが、河原、土、石、落ち葉が多い環境で成長した場合には灰系に変化することもあります。また、それ以外でも体色を構成する色素の影響によって変化を遂げた『アルビノ』も極稀にですがいます。

通常アルビノと聞くと白いイメージがあるかと思いますが、ニホンアマガエルの場合は『黄』、『茶白』、『青』などの色です。黄色のアルビノは体色が黄色なのはもちろん、目もうっすら黄色がかっており、茶白のアルビノも黄色アルビノと同様に、体色が茶白で目がうっすら赤色になっています。青い個体については、海のようなブルーをしているのではなく、実際には青緑という感じです。

一見すると見慣れない色合いから異種でないかと思うこともあるかと思いますが、環境や色素の欠落などの理由で体色が変化しているだけで、同じニホンアマガエルだったりします。

 

常にカラス、サギ、ヘビなど様々な天敵から捕食される危険に晒されているからこそ、こうして環境に合わせて体色を変化させる能力を持っているのです。ただ、緑のニホンアマガエルを土が多い環境に連れて来ても、かならず灰色に変化するわけではなく、成長の過程や天敵の有無など、様々な要因で変化するものであるため、そのタイミングや条件を観察してみるのもまた面白いでしょう。

 

ニホンアマガエルの生活環

ニホンアマガエルは春になると冬眠から目覚め、水田や池などの止水域に集まり、オスが鳴き声を発しメスを誘うことにより交尾します。その際に、オスがメスの背中に抱きついた状態で水面を泳ぎ、逆立ちで産卵と放精を行います。

受精卵は細い寒天質で、紐状のもので数個ずつ繋がったまま水面を漂っていき、植物などに絡みついて天敵から見つかりにくく、なおかつ安定した場所へとたどり着きます。しかし、アマガエル類は吸盤があるため四方を壁に囲まれた水場などでも産卵ができ、外に置かれたタンクや瓶の中などでも卵を見る機会があります。

その後受精卵は環境や条件により多少前後はするものの、およそ2〜3日ほどで孵化します。孵化した幼生は全体が褐色で『外鰓03)「がいさい」または「そとえら」』があり、このエラはしばらくすると体内におさまっていき、一般的な『オタマジャクシ』になります。

余談ですが、成体だけではなくオタマジャクシの時点でもそれぞれ種類によって大きさや色合いなどが異なっており、ニホンアマガエルとよく同じエリア内にいる代表的な多種のヒキガエルのオタマジャクシは全身が濃い黒色なのに対して、少し小柄で薄いまだら模様の入った褐色体をしています。

一度見分け方がわかり、それぞれを同時にみたらすぐどちらがニホンアマガエルかもわかるようになりますので、よければ機会があればぜひ見比べてみてください。

 

オタマジャクシの口にはヤスリ状の歯があり、噛むというよりは削り取るような形で動植物の死骸や藻類などを食べ、最大でおよそ5cmほどまで成長し、一ヶ月ほどかけてオタマジャクシからカエルへと変態していくが、その変化が知れば知るほど面白い。

最初の変化としては、尾の付け根あたりに後ろ足が形成されていき、その段階で体内で前足も形成されていきます。後ろ足が十分な大きさまで形成されたらエラ穴から前足が出てきて、それと同時期に尾が徐々に短くなっていき、体色もまた徐々に薄くなって黄緑色へと変わっていきます。

カエルになったらそれ以降はそのまま遠くの別の地へとむかったり、同じエリア内で生活をし、冬には冬眠をし、また春には交尾相手を探します。

 

毒性について

ニホンアマガエルは粘膜を体表から分泌しているのですが、その分泌液には『抗菌性ヒストン』や『抗菌ペプチド』などのタンパク質の一種が含まれており、毒を持つカエルで有名なヤドクガエルが持つアルカロイド系の神経毒やフグが保有するテトロドトキシンなどのような重篤な症状を引き起こすことはありませんが、これらが人間の粘膜に接触するとヒリヒリするなどの症状が現れます。

毒性がそれほど強くないことだけではなく、人間の皮膚はニホンアマガエルが想定している天敵より遥かに厚く構成されているので、触れただけで毒が体内に回るということはまずなく、気をつける必要があるとしたら触れる場所にひっかき傷などがあり直接体内に毒素が入り込む場合でしょう。

すぐに症状が現れないことと、重篤な症状が出ないことを考えるとそこまで神経質に気をつける必要はないですが、ニホンアマガエルの飼育ケージ内を掃除したり触れた直後にはシッカリと洗剤で手を洗い衛生管理に気をつけるようにすると無用な心配をせずに飼育することができます。

 

 

※カエルだけではなく、様々なペットを飼育している際には衛生面は気をつけるにこしたことはないので、詰替用などをいくつか保管しておくのがオススメです。

 

飼育する際に必要となるもの

飼育する環境をどのようなものにするかにもよりますが、一般的に飼育するうえで必要なものとしては以下のようなものがあります。

飼育スペース、家として ガラスケージ、プラケなど
陸地の床材として フロッグソイル、腐葉土、ヤシガラ、赤玉土など
水中の床材として フロッグソイル、玉砂利、小石など
住みやすい環境作りとして 水草、観葉植物、流木、水苔など
シェルターや飾りとして 石、レンガ、その他小物など
湿度調整や水分補給として 温度/湿度計、霧吹き、水入れ容器など
餌を与える用の道具として ピンセット、粉状のビタミン剤など

以下ではそれぞれについて少し詳しく説明していきます。

・ケージ

犬猫のように部屋の中で放し飼い…というわけには当然いかないので、飼育する際には専用のケージが必要になります。この際に用意するものとして一般的にはプラスチック製のものかガラス製のものを使用しますが、簡易的な飼育容器としては下のようなプラスチック製のもので十分事足ります。

 

ただビバリウム04)英語表記だとVivalium。野生で本来生活して環境を、人工的に再現した飼育環境のこと。その中でも陸の生物を育てる環境を『テラリウム』、水中は『アクアリウム』、水陸両用が『アクアテラリウム』といいます のように拘ったり、より自然に近い環境での飼育や、飼育スペースを一つのインテリアのように美しく見せたい場合は断然ガラス製のケージがオススメです。

その中でも、下のように色々なものがセットで最初からついているものからはじめ、徐々に慣れていきながら好みで新しく買い足したり、あまり使わないものや使いづらいものを交換したり取り除いていくと人に教わらずとも慣れていきます。

 

もちろん、最初からセットではなくてこういったガラスケージのみのものを購入し、床材や植物などを好みで購入してレイアウトするというのも飼育する上での楽しみ方の一つ。

サイズは幅30cmか幅45cmくらいで十分かとは思いますが、数を増やしたり広々とした環境で飼育するのであればさらに上の幅60cmなどでもアリですが、はじめての飼育の場合は管理のしやすさなども踏まえて幅30cmくらいのものがベストかと思います。

 

ガラス製、プラスチック製、セット、単品、どれを選んだ場合でも大事なことは蓋(または扉)がシッカリとしていて脱走しないようになっているということ。ニホンアマガエルはガラス、プラスチックどちらにしろ張り付くことができるのと、ジャンプ力が高いため、蓋がなかったり扉が開けっ放しになっているとそこから脱走してしまい、最悪室内でミイラ状態で発見されます。

簡易的であれ自作であれ、蓋はニホンアマガエルが出れないくらいの網目状のものを使用するようにしましょう。脱走防止だけではなく、中の空気や湿度がこもりすぎないようにするという意味でもとても便利です。

ただ、不安がある場合はやはり市販のものがなんだかんだ一番手っ取り早く、安上がりだったりします。

 

・床材や植物などで環境作り

先ほど紹介したセットではなくケージ単品を購入した場合まず必要になってくるものが床材とそれにあわせて自然環境を再現し生活しやすくするための植物類です。

床材に関しては飼育者によってヤシガラや赤玉土などを混ぜたり、近くの山林などで回収した土や腐葉土など様々なものを使用されていますが、個人的に一番オススメなのが市販されている『フロッグソイル』です。

理由としてそれぞれ説明します。

  1. まず、よくオススメされる腐葉土に関してはカビが発生しやすく、なおかつダニが繁殖しやすいです。いうまでもなく、カエルだけではなく人体に対してもカビやダニは病気や体調不良の原因にもなり、ダニなどに関しては一度発生したらケージをリセットしなければならなくなり、またはじめから全てセッティングしなければならなくなります。頻繁に中身を総入れ替えしたり、小さなケージで飼育する場合を除き、オススメできないものです。
  2. 山林や畑、庭などで採取した土に関してはどのような微生物がいるかもわからず、土質がどのようなものかもわかりません。気がついたらケージの中によくわからない虫が繁殖したりする場合もあり、オススメできません。ただ、ニホンアマガエル自体が野生種だった場合はその周辺の土などを使用するのはアリです。その場合は同じケージ内に現地で採取したニホンアマガエル以外は入れない方が無難といえます(病気が感染するなど様々なリスクがあるため)。
  3. 上記二つよりはマトモといえるのがヤシガラや赤玉土などを混ぜたりそれ単品で使用した床材です。配合する際にはどのくらいの割合でどのような土質になるかなどは経験が物を言うので、色々な環境を試したいと言う場合はこちらを行っていくのもアリです。ただ、最初のうちは失敗したり土が半端に余ったり足りなくなったりと面倒が増えるかと思いますので、慣れるまでは何かと手間がかかるといえます。

これらに対し市販の床材(マット)の一番のメリットは『手間がかからず清潔』というところでしょうか。中に変な虫が入っている心配はしなくていいし、配合などを気にせず単純に必要な量をザーっと出せばよくて、交換や掃除も楽。

先ほど紹介したフロッグソイルはアマガエルはもちろん、その他様々な半地中性・地表性のカエル専用に作られているので、カエルにとって非常に大切な湿度を保ち、潜りやすく、植物も育ち、汚れを吸収する活性炭なども含まれているので慣れてない人はもちろん、今までその他の床材を使用していた人にもぜひ一度試してみていただきたいです。

唯一欠点があるとしたら色が黒いのでそれがあまり好きじゃないと言う場合気になるという点でしょうか。ただ、この上に苔を置いたり流木や植物をレイアウトするとそれほど気にならない綺麗な仕上がりになるので、あまり黒い土を見慣れていない方も完成させてみたらきっと満足されるかと思います。

※苔のついた石は見栄えもよく管理も楽なためオススメですが、飼育ケージのサイズに合わせて石のサイズを選ぶよう気をつけましょう。 

基本的にニホンアマガエルは地面の上を歩くような生物ではなく樹上棲であるため、こういった少し背の高い植物などに登ったりくっついていたりするので、簡易的な飼育をする場合でもある程度は植物を中にいれたほうがよりよいと言えます。植物を入れる上でその植物の管理も行いやすい点ではやはりフロッグソイルはかなり優秀でしょう。

 

・シェルター

前述した通り、ニホンアマガエルは植物などに登ったりしますが、ただ登るのが好きというわけではなく、保護色として植物と似た色をしているため天敵からも見つかりづらくなり、安心感を得ることによりストレス軽減にもなります。

とくに野生個体の場合だとストレスに敏感であるため身を隠す場所は必須となります。

 

植物以外でも石やレンガや鉢、その他色々な小物類を置いて自然に溶け込めるような環境づくりにすると、すぐ見つけられなくなるかもしれませんが結果的にニホンアマガエルにとっては過ごしやすく長生きにも影響すると言えます。

すぐに見つかる常に天敵に見つかる可能性があるという恐怖を抱いている可能性がある、ということは念頭に入れておき、毎日のケアは大事ですが中をあまり荒らしたり隠れているところを引っ張り出したりなどはしないようにしましょう。

※こちらは水に浮かす事ができるタイプのシェルターなので、広いケージで飼育する際に水辺を作った際にそちらに浮かしたり、陸地にレイアウトする事もできます。

 

・湿度と温度の管理

ニホンアマガエルだけではありませんが、特に両生類を飼育する際に重要な事TOP3に間違いなく入るであろう事が湿度・温度管理です。

カエル自体が湿っていたり、雨の日によく見かけるから、雨の日のようにビショビショに濡れていればいいのでは?と勘違いされる方もたまにいらっしゃいますが、飼育下においては濡れすぎていると土や植物にカビが繁殖してしまい病気に繋がる場合もありますし、ずっと濡れ続けて入れば湿度が高くなりすぎたり冷え切ってしまうこともあるため、ビショビショにするのはNGです。もちろん、乾燥しすぎてしまえば瞬く間に干からびて死んでしまいますので日頃からのケアが必要になります。

では具体的にどのくらいの湿度があればいいのか、ということですがこちらに関しては諸説ありますがおよそ60%ほどを目安に安定していれば大丈夫です。一度そのくらいまで湿度が上がったら、それ以降は1日二回ほど霧吹きをすると同じ湿度を保ちやすくなりますが、こちらに関しては飼育しているケージの広さやお住いの地域によっても多少変化しますので、霧吹きの回数よりも湿度のパーセンテージを目安に管理してください。

 

また、カエルと聞くと水中を泳ぎまわり、水の中にいるイメージをもたれる場合もありますが、ツリーフロッグ系であるニホンアマガエルはむしろ水の中よりも草や木の上にいたり、土の中に潜っていたりすることのほうが多かったりします。水分補給を行う必要がある場合には自ら水辺へと向かったり、雨などが降ればそれを浴びたりします。

そのため、飼育スペースに水たまりを作る必要は基本的にはなく、ひっくり返ったりしないような水入れなどを置き、霧吹きで湿度の調整を行います。

その際に使用する水は水道水をそのまま使わずに、数日ペットボトルなどで保管してカルキ抜きしたものか、もしくはカルキ抜き剤を使用した水を使いましょう。

 

温度に関しては昼間は25℃夜間は20℃程度を目安に昼夜で多少の温度差をつくるほうがよいとされています。冬場に関しては日中は同じく25℃程度、夜間は18℃を下回らないように18〜20℃以上を目安に保つようにしましょう。

寒すぎると冬眠をはじめるか、もしくはそのまま凍死してしまいますが、暑すぎると湿度も合間って一気に暑くなりそのまま死んでしまいますので、夏場は涼しく、冬場は暖かく管理するよう心がけましょう。

 

温度や湿度の数値がわかってもその確認する道具がない、ということでしたら、こういった湿/温度計を使用すると一目でわかり、管理がしやすいです。基本的にこういった道具は爬虫類用と記載されていますが、もちろん両生類でも使用でき、表記もデジタルなので通常の温度計のようにパッと見でわからないということもなく、温度も湿度も一つでみれるので別途道具をごちゃごちゃおかなくて済むのでオススメです。

 

・餌に関して

ニホンアマガエルは昆虫を捕食する、分類で言えば『肉食』です。雑食性や草食性の生物とは違い、肉食であるため餌は葉っぱなどをあげるというわけにはいかず、基本的には昆虫類を生きたまま与えます。というのも、ニホンアマガエルをはじめとする多くのカエルは動いたものを餌と認識するためです。

与える餌としてはコオロギやワラジムシ、ミルワーム05)栄養価が高く人気の餌ではありますが、脂肪分も多いので与える場合はミルワーム以外の昆虫も与えた方がいいです など市販されている昆虫類で問題はありませんが、飲み込んで問題なく消化できるくらいの大きさのものが望ましいです。餌である昆虫自体も管理する場合、徐々に成長してしまうので、ニホンアマガエルくらいの小型のカエル用であれば一週間以内、またはひと月以内に食べ終わるくらいの量をその都度購入するのが無難と言えます。

近くに田んぼや山林などがある場合は野生で餌を捕獲することもできますが、その昆虫自体が食べているものなどを気にするのであれば市販されているものの方が病気や寄生虫のリスクはグッと減りますので、ニホンアマガエル自体が野生種でない場合はなるべく市販のものか、自身で飼育・繁殖した昆虫を使用することをオススメします。

また、飼育下ではどうしても栄養価が偏りやすいので、昆虫に粉末状のビタミンやミネラルを散布して06)餌に粉末状の栄養剤をかけて与えることをダスティングといいます あげたり、昆虫自体にも栄養価の高い餌を与えて栄養豊富な餌にする07)餌自体の食べるものを管理し、栄養価をあげることをガットローディングと言います などすると、偏りが減り元気に長生きしてくれます。

 

※餌を与える際にはケージ内に放つのではなく、ピンセットなで掴んで一匹づつ与えた方がどのくらい食べているのかもわかりやすいです。どうしても掴みづらい場合は一回の食事で数匹放ち、中で昆虫が死んでいたりした場合はカビなどの原因にも繋がるので速やかに回収しましょう。

 

ただ、中にはカエルは好きだけど昆虫はちょっと…という方もいらっしゃるかと思います。事実、カエルだけではなく小型の爬虫類なども好きという方でも昆虫がどうしても無理(触るのも飼育するのも、そもそも管理することも)という方で飼育を諦めるという人を過去に何人も見てきました。

そんな方には専用の粉末状、またはゼリー状の餌がありますのでそちらを使用することをオススメします。

こちらに関して欠点があるとしたら、ニホンアマガエルの場合は口が小さいので作る団子も小さくなければならなくなり、それを与える際にはつまようじの裏側などにつけて、小刻みに動かして与えて餌であるということを覚えてもらうまでが大変、ということです。

数回も食べれば団子状のものも、つまようじが見えても餌がある!と認識してくれることがほとんどなので、そうなれば与えるのも非常に楽ですが、一向に覚えなかったり食べてくれない場合はやはり小型の昆虫を準備する必要があるので、これに関しては与え方や個体差がでてくると思います。

 

かかりやすい病気について

飼育するための準備ができたら知っておかなければならないのがかかりやすい病気とその対策についてです。こちらでは主にかかりやすい、または致死性の高いとされている三つの病気について紹介します。

1. 寄生虫

今まで通りの餌を与えていてもどんどん痩せていったり、下痢をするようになるなどの症状が現れたら寄生虫が体内に潜んでいる可能性があります。

CB個体08)Captive Bredの略で飼育下繁殖個体という意味 や市販の餌を与えている場合はほぼ寄生虫に感染するということはありませんが、野生個体や野生の昆虫を餌にしている場合寄生虫に感染するリスクは格段にあがり、野生個体の場合だとほぼ必ずと言っていいほど寄生虫に感染しています。

寄生虫に感染すると大きな生体であれば薬などで対策もできますが、カエル、特にニホンアマガエルのような小さな個体に関してはほぼ治療はできないものであるため、感染リスクを抑えるという意味も含めて、一般的には野生種とCB個体は同一のケージでは飼育しないものとしています。

その他対策としてはやはり餌自体も市販されている、CB個体であるものを与えたりするよう気をつけるということでしょう。

 

2. 代謝性骨疾患

自然界だとその都度必要な栄養を含むものを捕食したり、多種多様なものを摂取することによって一定のバランスが保たれているものが、飼育下だと偏ってしまうことによりカルシウムやビタミン不足により骨の成長が異常をきたした際に発症する病気が『代謝性骨疾患』です。

症状としては骨の一部が形成されなかったり、足が曲がってしまったりします。度合いにもよりますが、普段他の個体では見慣れないような形になるので、複数匹飼育している場合は発症した際にはすぐ気付けるかと思います。

予防法としては前述したとおり、粉末状のカルシウムやビタミン剤などを餌にふりかけたり混ぜたりして与えて、食事をする際にバランスよく栄養補給できるようにすることです。

 

3. カエルツボカビ症

ニホンアマガエルが保菌する菌は様々ありますが、その中でも『カエルツボカビ症』には最新の注意を払うようにしてください。カエルツボカビ症とは真菌が原因である感染症で、主にアジアでその菌が存在しているといわれています。

ニホンアマガエルがこの菌に感染してしまうと、電解質の輸送が阻害され心不全がおこり、食欲不振や発疹が現れたり、指の先端・水かきや腹部表面などがピンクや赤色調へと変色し、皮膚呼吸が出来なくなり、体の動作が緩慢になり、やがて麻痺し、そのまましばらくすると死んでしまいます。

感染力とその影響力は個体差もあれば、種類次第でその脅威の度合いが変化します09)アフリカツメガエルやウシガエルなど、一部の種類においては感染しても発症しません が、ニホンアマガエルにとっては基本的に深刻な感染症といえます。

また、カエルツボカビ症と名付けられていることから、カエルのみが感染する感染症であると考えがちですが、その他の両生類にも感染するため10)オーストラリアやアメリカなどで様々な両生類が減少、または絶滅した深刻な感染症です 、もし数匹、または数種類を同じケージ内で飼育している場合は速やかに隔離するようにしましょう。

 

なお、カエルツボカビ症に感染した際、変色などがたいしておこらず、肉眼で確認ができない場合もあります。その場合、見分け方としてよく言われている五つの方法は

  1. 無気力に後ろ足などを動かす
  2. 樹上性・夜行性のカエルが一日中地べたに座っている
  3. 指で触れても動かず、瞬きもしない
  4. ひっくり返してもそのまま動かず元に戻らない
  5. 口を指で軽くつまんでも反応がない

とされています。

このような症状があった場合は必ず動物病院で診てもらいましょう。その際に必ず事前に電話をし、診てもらいたい生体と症状はお医者さんに伝えましょう。場合によっては犬猫専門の動物病院などであれば必要な機材がない場合もあり、その他動物病院でもすぐに処置ができるよう準備する必要があるため、事前の連絡はとても大切なことと言えます。

 

致死性のあるカエルツボカビ症ですが、現在は抗真菌薬などが開発され、感染症の脅威自体は減り、なおかつ日本に生息しているカエルのほとんどはすでに免疫があると研究からわかっているため、神経質になりすぎる必要はありません。しかしながら、免疫があっても感染する可能性はゼロではなく、薬を処方しても体力の低下などが原因で回復せずそのまま死んでしまう場合もあるため、気をつける必要はあります。

もし感染した場合は前述したように速やかに隔離し、動物病院で診てもらうのもそうですが、接触したであろう流木や植物、ソイルや水は廃棄するか、ガラス11)ガラスの耐熱性が足りない場合は破損の恐れがありますので、熱湯はかけないようにしましょう や石など消毒できるものは熱湯消毒して再使用しましょう。

耐熱性が足りないものの消毒に関しては『次亜塩素酸ナトリウム』が配合された消毒剤12)次亜塩素酸ナトリウムそのものではなく、あくまでも配合された消毒剤を使用するようにしてください を使用して殺菌できます。冬季に感染リスクの高まるノロウイルスに対する殺菌効果のあるものとしても有名ですね。

 

寿命と長生きさせるコツ

ニホンアマガエルの寿命は一般的に5〜10年くらいと言われていますが、飼育下では14年以上生きたという報告もあります。

長生きされるコツとしては栄養バランスを考えた餌を与え、飼育環境をよくし、病気をよせつけないために日頃からの掃除などのメンテナンスを行うのはもちろんですが、その他にも気をつけることとして直接手などでなるべく触れないようにするということです。

どういうことかというと、変温動物でありなおかつ基礎体温の低いカエルにとっては恒温動物であり36度以上もある人肌は温かいを通り越して火傷するほど熱いんです。そのため、そのまま触れている時間が長ければ長いほど体調不良を引き起こす原因にもなり、寿命が縮むとも言えます。

極力触れないというのが大事ではありますが、メンテナンスを行う場合など、どうしても触れなければならない時などは手を水で洗い少し冷やしてからにして、触れる時間も極力短くするか、葉っぱや木の枝などに乗せてそのまま動かしたりなどするようにしましょう。

 

また、すでに説明したことではありますが、直接カエルを触れた際にはその後しっかりと消毒をし、衛生面にも気をつけるようにしましょう。飼い主がダウンしてしまっては飼育下の生体は管理がされず同様にダウンしてしまいます。

 

購入価格とそれ以外の入手法

野生のニホンアマガエルを飼育するのも勿論いいですが、長生きしてもらいなおかつ繁殖したり綺麗なビバリウムで飼育してみたいと思った際にはやはりCB個体が一番いいと思います。

ただ、一般的なペットショップは勿論、爬虫類や両生類を扱っているエキゾチック系のショップでもニホンアマガエルを扱っていることはあまりありません。理由としては、一般的なペットショップはそもそも犬猫を中心に扱っているので両生類のコーナーがなく、エキゾチック系だとベルツノガエルなどの海外のカエルを多く取り扱っている場合がほとんどだからです。

しかし、オークションサイトや通販サイトなどでは時折ニホンアマガエルが出品されることがあるので、そちらから購入するのが一番早いかもしれません。

値段はピンキリですが、一匹あたり200〜500円ほどで販売されています。ただ、オークションサイトなどだと繁殖させたCB個体ではなく、近所で採取した野生個体である場合が多いため、もし野生個体でも構わない場合はまず近くで採取できないか探してみるのもいいかもしれないですね。

 

 

最後に、必ず守るべきルール『飼育後は絶対に野生に放たない』

様々な魅力や飼育方法について説明しましたが、最後に必ずどんな生体にも言えることですが『一度飼育したら野生には放たない』というルールでありマナーは守るよう心がけましょう。

外国産の生物ではなく、在来種でも放ってはダメなのか?と疑問に思う方も中にはいらっしゃるかと思いますが、在来種であっても各地で独自の生態系を築き上げて一定のバランスのもと成り立っています。そのため、A地域のニホンアマガエルをB地域に放してしまうとA地域の生態系を乱す恐れもあり、放った生体が適応できずに死んでしまうということもあります。

 

どうしても飼いきれなくなったり手放さなければならないという時には友人などに譲るか、ネットの通販で販売したり、もしくはペットショップなどで引き取ってもらえるか聞いてみるというのも手です。

生き物を粗末に扱わないように、飼育する前にはシッカリと終生飼育ができるように自分に問いかけてから飼育するようにしましょう。


References   [ + ]

01. 人間がもし同じ長さの指があるとしたら指だけで顎から頭までの高さと同じくらいの長さがあります
02. ゆうているい。文字が表す通り、蹄(ヒヅメ)がある哺乳類の事
03. 「がいさい」または「そとえら」
04. 英語表記だとVivalium。野生で本来生活して環境を、人工的に再現した飼育環境のこと。その中でも陸の生物を育てる環境を『テラリウム』、水中は『アクアリウム』、水陸両用が『アクアテラリウム』といいます
05. 栄養価が高く人気の餌ではありますが、脂肪分も多いので与える場合はミルワーム以外の昆虫も与えた方がいいです
06. 餌に粉末状の栄養剤をかけて与えることをダスティングといいます
07. 餌自体の食べるものを管理し、栄養価をあげることをガットローディングと言います
08. Captive Bredの略で飼育下繁殖個体という意味
09. アフリカツメガエルやウシガエルなど、一部の種類においては感染しても発症しません
10. オーストラリアやアメリカなどで様々な両生類が減少、または絶滅した深刻な感染症です
11. ガラスの耐熱性が足りない場合は破損の恐れがありますので、熱湯はかけないようにしましょう
12. 次亜塩素酸ナトリウムそのものではなく、あくまでも配合された消毒剤を使用するようにしてください

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