【飼育方法】一般的な蛇の飼育に関して【爬虫類】

前回の記事では一般的なトカゲの飼育方法に関してざっくりとではありますが紹介しました。今回はそれに続き、一般的な蛇の飼育に関して記していきたいと思います。

まず大前提として蛇もトカゲと同じ変温動物であるため、体温は外部の温度にとても影響され、野生化とは異なり小さな箱庭で飼育する場合においては、活発に活動し健康を維持できるだけの温度管理がとても重要になってきます。

※ちなみにこの温度管理に関しては爬虫類はもちろん、両生類や鳥類、それこそ哺乳類でもとても大事なことなので、説明をする際には毎度のように紹介するかと思いますが、温度とはとても大事なことなので繰り返しとなってしまっても紹介はしていこうと思っています。

 

飼育方法に関しての説明の前に豆知識ですが、蛇と聞くと毒を持っていたり危険なイメージが強いかもしれませんが、実際毒蛇とはどのくらいいるのかご存知でしょうか?

全世界にはなんと3000種類もの蛇が確認されていますが、そのうちのおよそ25%が毒蛇と言われています。蛇の全体数で見たら意外とそれほど多くなく、ほとんどの蛇は毒はない蛇なんです。これに関してはまた別の記事で詳しくまとめようと思いますので、そんな蛇の飼育方法に関して紹介していきます。

 

ハンドリング(触ること)に関して

必要な設備の説明の前に一つ大事なことを話しておくと蛇は多くの哺乳類や鳥類などのように撫でられたり、毛づくろいをしたり、掻かれたりすることを好みません。蛇、というより多くの爬虫類に言えることなんですが、野生化においてそういったことを仲間としたり、自身で行ったりすることがほぼないからこそ、慣れない事に対して過度なストレスを感じてしまいます。

じゃあ触れずただ見るだけなのか、というとそういうわけではなく、あくまでもそれを踏まえた上で適度なレベルで触ったり、持ったりする分には大丈夫です。一般的には幼い頃から人の手に触れられる事を慣れさせる[01]触れたり持ったりする事をハンドリング(handling)といいます。 事により、慣れてもらい大きなストレスを感じずに触る事ができます。[02]あくまでも「慣れ」で「懐いている」とはまた異なります。

こういった事は必ずしも必要ではありませんが、可愛いペットを触れれないのは何かと切ないものがありますし、何よりケージ内の掃除の時に暴れたり逃げ回ったりせずにできるので人間側もノンストレスになるので、正しくハンドリングをしていくのはとてもオススメです。

また、上から手を入れたり、餌を食べる前や食べた後にはなるべくハンドリングはしないようにしてください。上から急に手がくると襲われていると感じて無用なストレスを与えてしまいます。餌を与える前は餌と間違えて咬まれる事がありますが、食後だと吐き戻しをしてしまうことがあります。

※あくまでもハンドリングには慣れる、という事を念頭にいれて長時間のハンドリングはどのみち過度なストレスとなる事は覚えておいてください。ただ、中には例外といえるほどベタ慣れの個体もいて、そういうこに関してはそれこそずっと首に巻いてても平気そうにしていたりしますが…笑

 

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脱走厳禁!蛇用のケージに関して

さぁ、蛇を飼おう!と思い立った時に最低限これだけは絶対に必要と言えるものがあるとすればそれは間違い無く蛇が住む家、ケージです。放し飼いにしても隙間だらけの虫かごのようなものにいれてもやすやすと脱走し、外の世界に消えてしまいます。日本国内の蛇であっても、近所で捕まえたということでない限りは必ず脱走はさせないように気をつける必要があります。

ではどんなのがいいのか、というと基本的にはガラス製の専用ケージを使用することをオススメします[03]蓋が弱いちょっとした入れ物だと簡単に開けて脱走します。蛇の力は物凄く強いです。。爬虫類の飼育をすることを前提に製作されているため、後述するホットスポットやライトの設置も楽にできるし、自分であれこれ加工せずにそのまま使えるのがなにより魅力的です。

必要となる大きさは一般的に『蛇がとぐろを巻いた大きさの約三倍』と言われています。重要なのは全長や頭の大きさとかそういうのが基準となっているわけではないということ。なので2メートル近い蛇を飼育するからといって5メートルサイズの巨大なケージが必要になる、というわけではないので安心してください。

この基準がある理由としては蛇自体があまり運動量が多い生き物でないということと、基本的にはとぐろを巻いた状態や、まとまった形で休んでいることが多いからです。

ただ、なるべく蛇は一つのケージに一匹で飼育することをオススメします。というのも喧嘩をしたりすることもあれば、餌を与えた直後などにもう一匹の蛇の事もそのまま襲ってしまう場合があるからです。[04]物凄く大きなケージであれば大丈夫である事もあるし、喧嘩をしない事も多々あります。ただ、安全を考えるのなら一匹づつのほうがベターです。

※飼育経験を積んだり、色々な飼育方法を目にして慣れてきたら蛇の飼育ケージを自作する人も中にはいますが、初心者は無理をせずまずは市販のもので飼育してください。

 

温度管理に必要となる器具に関して

冒頭でも少し触れましたが、蛇、爬虫類は変温動物です。変温動物と聞くと『外部の力を使わないと体温が一切あがらない』というイメージがあるかと思いますが、厳密に言えば『一定以上の体温を保つためには外部の力が必要となる』というほうがより近いかと思います。

変温動物であっても呼吸により発熱はするし、筋肉や神経組織の活動などにより、周囲の温度よりは高い体温をもつ場合があります。ただ、そうはいってもやはり日光などで体を一定の温度まで温める必要があり、飼育下においてはその温度管理は非常に大切な事になります。

蛇の種類によって必要な温度は多少異なりますが、基本的には25℃〜30℃くらいを目安に温度を保てるとベストです。ホットスポット[05]いわゆるヒーターやバスキングライト付近 に関してはもう少し高くても大丈夫ですが、暑すぎても生体にはよくないので気をつけましょう。

ただ、温度は低くなる方が危険といえるので、秋頃や冬になった際にはヒーターはかかさずつけてあげるようにしてください。低温に強い蛇も中にはいますが、温度が低くなると体調を崩したり、餌喰いが悪くなったり、消化不良を起こしたりします。

ケージのサイズが大きい場合はヒーターが一つでは足りない場合もありますので、部屋そのものを温めるか、バスキングライトをとりつけたりなど工夫が必要になってきます。

 

ストレス軽減、蛇の隠れ家「シェルター」に関して

蛇は物凄く動き回って襲ってくるイメージを持っている人もいますが、基本的に蛇はエネルギーをそんなに消費する事もなくジッとしている事が多く、なおかつ臆病でデリケートな場合が多いです。

ハンドリングの説明の際にも少し話した通り、基本的に触られる事も好まないし、何よりずっと姿がさらけ出されてしまい人の目や他の生体に見られ続けるという事に対して物凄くストレスを感じてしまいます。

もっと見たい!もっと触りたい!!

という気持ちはわかりますが、長くいい付き合いをしていくのであれば自分の欲求ばかりをぶつけず、蛇にとっても快適な環境を提供してあげることが何より長生きして長く見て触れることに繋がりますので、ハンドリングや観察する時間も大事ですがシェルターに引きこもり蛇が落ち着ける時間もぜひ作りましょう。

このシェルターに関しては透明であったりサイズが合わないということがなければ基本的にはなんでも大丈夫です。ただ、そこらへんで拾ってきたゴミとかだと何が付着しているかもわからないので、基本的にはショップなどで販売されているシェルターを使用するのが一般的です。

大きさとしては体が入りきるくらいであれば大丈夫ですが、徐々に成長していくことを考えて少し大き目にしておくのもアリです。もしくは大きくなるにつれ徐々にシェルターサイズもアップさせていき、余った小さいシェルターは新しくお迎えしたベビーサイズの蛇に与えるという使用方法もあります。

その点に関しては飼い主の好みや今後の飼育方法などで変わるかと思います。

 

あったらよりよいと言える床材に関して

先に言ってしまえば床材に関しては究極、なくてもそこまで問題ではありません。なくても生体に何か悪影響があるとまではいかないという意味でなので、なくても大丈夫ですがあるとよりよかったりはします。

具体的に何がいいかと言えばその一つが掃除のしやすさでしょうか。新聞紙やキッチンペーパーなどを敷いておくとケージがフンで汚れるのを少しは抑えられて、その床材ごと捨てて掃除ができます。ただ、潜るのが好きな蛇などにはバークチップや砂などを敷いた方がよりストレスを与えずに飼育できます。

逆に木の上で生活するのが主な蛇に関しては床材というよりは枝などを渡してあげることのほうが大事になります。

 

蛇の水入れは思っている以上に重要

蛇ってどうやって水を飲んでいるんだろうと疑問に思う方も多いかと思いますが、結構普通に口をつけてゴクゴク飲んだりします。蛇好きはぜひ一度見ていただきたい。物凄く可愛いです。

可愛らしい水飲みシーンが見れるだけではなく蛇にとっては水入れはお風呂としても使用します。体を綺麗にする[06]案外蛇は綺麗好きだったりします というのもありますが、脱皮前に皮を柔らかくしたりするために入ることが多いです。

水入れに関してはプラスチック製でもなんでも大丈夫ではありますが、中に入ったりすることを考えて大きさはとぐろを巻けるくらいにしておいたほうがいいです。また、結構な力で動き回るので器自体はある程度の強度と安定性は必要になってきます。でないとケージ内が定期的に水浸しになって掃除が大変になりますので…笑

 

蛇が必要とする餌に関して

蛇は好き、そもそも爬虫類も好き、でも餌が無理。

そんなことってある?と思うかもしれませんがこれは珍しいことでもないし、変なことでもないのでもし自分自身がそうであっても安心してください。逆に、単純に蛇が苦手な人だって多くいますしね。苦手なものは苦手なんだから仕方ないんです。

ただ、蛇を飼育するということは餌も与えていかなければならないということです。苦手だから、気持ち悪いから、という理由で与えられないのであれば残念ですが蛇は飼わずにショップなどで見る専門にすることをオススメします。蛇にとってある種喜びでもあることが飼い主にとって最強にストレスであったらそれは切ないことですしね。

ではその蛇の餌がなにかといえば、種類によって多少異なりますが基本的にはネズミなどの小型の哺乳類、両生類、爬虫類、鳥の雛、卵などでそれを噛み砕いたりはせずに丸呑みします。

  哺乳類は無理だけど両生類ならなんとか…

  両生類は無理だけど雛とかならなんとか…

など、色々感じることはあるかと思いますが、その中で自分が餌として与えたり冷凍したものを家で保管したり、餌自体を繁殖させたりすることが大丈夫と思えるものがあれば大丈夫です。

基本的にはネズミやヒナなどは冷凍したものをショップから購入して冷凍庫で保管しておき、必要な分だけを解凍してから与えるのが一般的です。解凍する際には熱湯や電子レンジなどは使用せずに自然解凍か、ぬるま湯くらいのお湯で行ってください。熱すぎると蛇の内臓が火傷します。そもそも食べようとしないかと思いますが…

餌を与える時には置き餌としてケージの中に置いて与えるか、ピンセットにつまんだ状態で与えるのが一般的ですが、決して指でもって渡したりはしないでください。咬まれます。

与えるペーストしては週2回くらいで十分です。大きくするために頻繁に餌を与える[07]パワーフィーディング事もありますが、明確な目的があったり知識がない限りはそんなに与えなくて大丈夫です。寿命が縮まる事もありますので。

※餌の例に関してはあくまでも一般的な話としてしています。昆虫しか食べない、ミミズしか食べない、トカゲしか食べないなどの偏食家[08]業界では変態ヘビなんて呼ばれて可愛がられていますや、両生類は食べず哺乳類や鳥類しか食べない蛇など種類によって異なりますので、食べられない餌を無理に与えたりはしないようにしてください。

 

終わりに

いかがでしょうか。簡単にではありますが一般的なヘビの飼育方法に関しての紹介でした。

冒頭でも話しましたが蛇は3000種類近くいて、尚且つ毒ヘビでさえ飼育する事も可能です。もちろん誰にでもできるわけではありませんが、それでも飼育できる蛇というのは物凄く多くいます。

その種類によっては一般的な事とはかけ離れた飼育方法が必要なものもいたりします。気に入った蛇がいて飼育したいと思った際には一般的な話は頭の片隅に、ぜひその蛇自体の飼育方法を確認していただければ幸いです。

今後も当サイトで様々な生物に関しての飼育方法などに関して記事を作成していきますが、まだ記事がないものに関しては下記フォームよりお問い合わせいただければ海外での飼育方法についての記事や飼育者のブログなども含めて誠意をもって調べたうえでまとめていきます。

それではよい蛇ライフを!

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References

References
01 触れたり持ったりする事をハンドリング(handling)といいます。
02 あくまでも「慣れ」で「懐いている」とはまた異なります。
03 蓋が弱いちょっとした入れ物だと簡単に開けて脱走します。蛇の力は物凄く強いです。
04 物凄く大きなケージであれば大丈夫である事もあるし、喧嘩をしない事も多々あります。ただ、安全を考えるのなら一匹づつのほうがベターです。
05 いわゆるヒーターやバスキングライト付近
06 案外蛇は綺麗好きだったりします
07 パワーフィーディング
08 業界では変態ヘビなんて呼ばれて可愛がられています

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