特定動物について

エキゾチックアニマルを飼育しようと思った際に、たまに出てくる『特定動物』という言葉。今回はこちらについてご紹介しようと思います。

 

そもそも特定動物とはなにか

特定動物(とくていどうぶつ)とは、日本の法律の一つである『動物愛護管理法』の規定に基づいて人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定められている動物種で、全種が一生を通じて肺呼吸を行う脊椎動物に分類されています。

そのため、危険・どう猛=特定動物というわけではなく、水中でしかいきられない生物[01]例:サメやシャチなど や、脊椎動物に分類されない生物[02]例:スズメバチなどの昆虫類 は特定動物には分類されません。

その他にも人間をも殺傷できる程の毒があり、尚且つ脊椎動物(両生類)であるヤドクガエルや、その他多くの毒を持つカエル類に関しても毒ヘビのように人間の体内に直接毒を注入する術がないため、それらも特定動物には含まれません。

また、家畜類もいかに巨大で力があっても基本的には人間により扱いやすいように改良されている生物であることから、適切に管理をすれば飼育者にも他者にも危害を加えることがほぼないということから、特定動物には分類されていません。

 

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飼育する際にはどうしたらいいのか

特定動物を飼育、または保管を行うさいには、あらかじめ都道府県知事の許可を受ける必要があります。

※『絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律』にて希少動物、もしくは『特定外来生物による生態系統に係る被害の防止に関する法律』において特定外来生物に指定されていない動物に関しては原則、飼育するのは自由ですが、他者に危害を加える可能性のある危険生物においては飼育する際には指定されている最低限の条件を満たしている設備とその他の基準を定めた上で許可制となっています。

最低限の基準とは

  • 飼養施設の構造や規模が一定の基準を満たしており、基本的には『おり型施設』などで飼養保管し、脱走防止できる構造及び強度をしていること。
  • 飼養施設の管理方法については定期的に施設の点検を行い、第三者の接触を防止する処置を行い、特定動物を飼養している旨の標識を見える場所に掲示するということ。
  • 特定動物の管理方法に関してはマイクロチップなどにより個体識別処置を行い[03]鳥類は脚環でも可能、施設外では絶対に飼養を行わないということ。

 

特定動物を飼育する上で何かあった際にの罰則について

勿論あってはならないことですが、万が一脱走をしたり第三者へ被害を与えたりした場合には当然ながら厳しい罰則があります。

許可の取り消し

施設の構造や管理方法が不適切であったり、守るべき基準が守られず怠っていた場合は飼育許可が取り消され、飼養管理を行えなくなります。

具体的な罰則について

以下の行為を行った際には個人の場合だと『6ヶ月以下の懲役、または100万円以下の罰金』、法人の場合は『5,000万円以下の罰金』に処されます。

  1. 無許可での特定動物を飼養、または保管していた場合
  2. 不正の手段で許可を取得していた場合
  3. 許可なく『特定動物の種類及びその数、飼養施設の所在地、飼養施設の構造及び規模、飼養又は保管方法、飼養又は保管が困難になった場合の対処方法』を変更した場合

最後に、下記では環境省のリストに則って、現在特定動物として分類されている生物を一覧[04]五十音順で2017年のものです でご紹介します。

 

哺乳綱

<霊長目>

【アテリダエ科】

  • アロウアタ属(ホエザル属)全種
  • アテレス属(クモザル属)全種
  • オレオナクス・フラヴィカウダ(ヘンディーウーリーモンキー)
  • ブラキュテレス属(ウーリークモザル属)全種
  • ラゴトリクス属(ウーリーモンキー属)全種

【おながざる科】

  • エリュトロケブス・パタス(パタスモンキー)
  • ケルコケブス属(マンガベイ属)全種
  • ケルコピテクス属(オナガザル属)全種
  • クロロケブス属全種
  • コロブス属全種
  • センノピテクス属全種
  • シミアス・コンコロル(メンタウェーコバナテングザル)
  • テロピテクス・ゲラダ(ゲラダヒヒ)
  • トラキュピテクス属全種
  • ナサリス・ラルヴァトゥス(テングザル)
  • パピオ属(ヒヒ属)全種
  • ピュガトリクス属(ドゥクモンキー属)全種
  • ピリオコロブス属(アカコロブス属)全種
  • プレスビュティス属(リーフモンキー属)全種
  • プロコロブス・ヴェルス(オリーブコロブス)
  • マカカ属(マカク属)全種(特定外来生物であるタイワンザル、カニクイザル、アカゲザルを除く。)
  • マンドリルルス属(マンドリル属)全種
  • リノピテクス属全種
  • ロフォケブス属全種

【てながざる科】

  • てながざる科全種

【ひと科】

  • ゴリルラ属(ゴリラ属)全種
  • パン属(チンパンジー属)全種
  • ポンゴ属(オランウータン属)全種

 

<食肉目>

【いぬ科】

  • カニス・アウレウス(キンイロジャッカル)
  • カニス・アドゥストゥス(ヨコスジジャッカル)
  • カニス・スィメンスィス(アビシニアジャッカル)
  • カニス・メソメラス(セグロジャッカル)
  • カニス・ラトランス(コヨーテ)
  • カニス・ルプス(オオカミ)のうちカニス・ルプス・ディンゴ(ディンゴ)及びカニス・ルプス・ファミリアリス(犬)以外のもの
  • クオン・アルピヌス(ドール)
  • クリュソキュオン・ブラキュウルス(タテガミオオカミ)
  • リュカオン・ピクトゥス(リカオン)

【くま科】

  • くま科全種

【ねこ科】

  • アキノニュクス・ユバトゥス(チーター)
  • ウンキア・ウンキア(ユキヒョウ)
  • カトプマ・テンミンキイ(アジアゴールデンキャット)
  • カラカル・カラカル(カラカル)
  • ネオフェリス・ネブロサ(ウンピョウ)
  • パンテラ属(ヒョウ属)全種
  • フェリス・カウス(ジャングルキャット)
  • プマ属(ピューマ属)全種
  • プリオナイルルス・ヴィヴェルリヌス(スナドリネコ)
  • プロフェリス・アウラタ(アフリカゴールデンキャット)
  • リュンクス属(オオヤマネコ属)全種
  • レオパルドゥス・パルダリス(オセロット)
  • レプタイルルス・セルヴァル(サーバル)

【ハイエナ科】

  • ハイエナ科全種

 

<長鼻目>

【ぞう科】

  • ぞう科全種

 

<奇蹄目>

【さい科】

  • さい科全種

 

<偶蹄目>

【うし科】

  • スュンケルス・カフェル(アフリカスイギュウ)
  • ビソン属(バイソン属)全種

【かば科】

  • かば科全種

【きりん科】

  • ギラファ・カメロパルダリス(キリン)

 

鳥綱

<たか目>

【コンドル科】

  • ヴルトゥル・グリュフス(コンドル)
  • ギュンノギュプス・カリフォルニアヌス(カリフォルニアコンドル)
  • サルコランフス・パパ(トキイロコンドル)

【たか科】

  • アエギュピウス・モナクス(クロハゲワシ)
  • アクイラ・アウダクス(オナガイヌワシ)
  • アクイラ・ヴェルレアウクスィイ(コシジロイヌワシ)
  • アクイラ・クリュサエトス(イヌワシ)
  • アクイラ・スピロガステル(モモジロクマタカ)
  • アクイラ・ニパレンスィス(ソウゲンワシ)
  • アクイラ・ファスキアタ(ボネリークマタカ)
  • ギュパエトゥス・バルバトゥス(ヒゲワシ)
  • ギュプス・アフリカヌス(コシジロハゲワシ)
  • ギュプス・ルエペルリイ(マダラハゲワシ)
  • ステファノアエトゥス・コロナトゥス(カンムリクマタカ)
  • トルゴス・トラケリオトス(ミミヒダハゲワシ)
  • ニサエトゥス・ニパレンスィス(クマタカ)
  • ハリアエエトゥス・アルビキルラ(オジロワシ)
  • ハリアエエトゥス・ヴォキフェル(サンショクウミワシ)
  • ハリアエエトゥス・ペラギクス(オオワシ)
  • ハリアエエトゥス・レウコケファルス(ハクトウワシ)
  • ハルピア・ハルピュヤ(オウギワシ)
  • ハルピュオプスィス・ノヴァエグイネアエ(パプアオウギワシ)
  • ピテコファガ・イェフェリュイ(フィリピンワシ)
  • ポレマエトゥス・ベルリコスス(ゴマバラワシ)
  • モルフヌス・グイアネンスィス(ヒメオウギワシ)

 

<だちょう目>

【ひくいどり科】

  • ひくいどり科全種

 

爬虫綱

<かめ目>

【かみつきがめ科】

  • かみつきがめ科全種(特定外来生物であるカミツキガメを除く。)

 

<とかげ目>

【おおとかげ科】

  • ヴァラヌス・コモドエンスィス(コモドオオトカゲ)
  • ヴァラヌス・サルヴァドリイ(ハナブトオオトカゲ)

【くさりへび科】

  • くさりへび科全種(特定外来生物であるタイワンハブを除く。)

【コブラ科】

  • コブラ科全種

【どくとかげ科】

  • どくとかげ科全種

【なみへび科】

  • タキュメニス属全種
  • ディスフォリドゥス属(ブームスラング属)全種
  • テロトルニス属(アフリカツルヘビ属)全種
  • ラブドフィス属(ヤマカガシ属)全種

【にしきへび科】

  • ピュトン・セバエ(アフリカニシキヘビ)
  • ピュトン・モルルス(インドニシキヘビ)
  • ピュトン・レティクラトゥス(アミメニシキヘビ)
  • モレリア・アメティスティヌス(アメジストニシキヘビ)
  • モレリア・キングホルニ(オーストラリアヤブニシキヘビ)

【ボア科】

  • エウネクテス・ムリヌス(オオアナコンダ)
  • ボア・コンストリクトル(ボアコンストリクター)

 

<わに目>

【アリゲーター科】

  • アリゲーター科全種

【ガビアル科】

  • ガビアル科全種

【クロコダイル科】

  • クロコダイル科全種

 

法改正について

2005年12月28日 改正内容

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 (平成十六年六月二日法律第七十八号)』に基づく特定外来生物の飼養規制との重複を避けるため、アカゲザルカニクイザルカミツキガメタイワンザルタイワンハブの5種類が特定動物から削除されるとともに、新たにジャガランディスナドリネコの2種類が追加されました。

 

2013年8月2日 改正内容

新たにサンショクウミワシクマタカソウゲンワシボネリークマタカモモジロクマタカの5種類が追加されました。

References

References
01 例:サメやシャチなど
02 例:スズメバチなどの昆虫類
03 鳥類は脚環でも可能
04 五十音順で2017年のものです

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