2016年に放送した某アニメ[01]『けものフレンズ』という様々な生き物を擬人化したゲームがアニメ化し、ブームとなりました の影響で知名度がグッとあがったサーバルキャットですが、アニメの影響で飼育してみようと思ってしまう前に、まずその生態をぜひ知っていただきたいと思うので少し紹介してみようと思います。
サーバルキャットという生体に関して
サーバル(またはサーバルキャット)は、食肉目ネコ科レプタイルルス属に分類される中型の肉食獣です。サーバルが分類されているLeptailurus(レプタイルルス)属は17亜種[02]元は18亜種でしたが、『Leptailurus serval serval 』が絶滅し、現在は17亜種と言われています からなるセルヴァル種のみで構成されています。
以前はネコ属やオオヤマネコ属に分類されることもあり、また、分子系統推定ではカラカルやアフリカゴールデンキャットからなる単系統群の姉妹群と推定されていて、Caraca属に含めるという説もあります。
サイズとしては以下の通りで
- 体長:60〜100cm
- 尾長:24〜45cm
- 肩甲:54〜62cm
- 体重:8.6〜18キロ
その他の特徴としては以下の通りです
- 野生下の寿命はおよそ10〜12年
- 飼育下の寿命はおよそ13〜20年(天敵もいなく、医療や餌などにより健康面をサポートできるため)
- ほっそりとした体型で、尾が体に比べてやや短い
- 短く柔らかい体毛に被われており、毛色は黄色や黄褐色で、四肢や腹面の内側が白っぽくなっているのが特徴[03]毛色には個体差があり、極端な例ですが、まれに全身が真っ黒のものもいます
- ほぼ全身に黒い斑点模様があり、首の後ろと肩に6本ほどの黒い線がある
- 尾の模様は黒い輪状の斑紋があり、先に行くにつれリング状となっていき先端は黒い
- 耳介は大型で先端が丸みをおびていて[04]土の中にいるネズミの動きも感知できると言われているくらい敏感で大きな耳をもっています 左右の耳の間はかなり狭い
- 跳躍力も高く、高さ2メートル、距離4メートル前後のジャンプも行う
見た目だけでも伝わるかと思いますが、その体毛は非常に美しく、毛皮を取るために狩猟されており、個体数は年々減ってきていると言われています。
足が速いのさることながら、木登りや泳ぎも上手いです。狩りを行う際は茂みなどに身を隠しながら忍び寄っていいき、前述したように跳躍力が高いため、ジャンプによる奇襲を得意としています。
大型のネコ科と比べると習性や性格が大きく異なると言われていますが、中型の猫の中でも脅威の運動能力を備えており、ヤマネコ特有の気性の荒さもあいまって、動物園などでは大型のネコ科動物であるライオンやヒョウを扱うのと同等かそれ以上に注意を払うと言われています[05]しかし、若い個体は人にも慣れるとも言われています。。
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生息地に関して
基本的にはサハラ砂漠より南のアフリカ大陸に生息していますが、アフリカ大陸の北部にあるモロッコ[06]隣接しているアルジェリアにも生息していたと言われていますが、現在では絶滅したと考えられています でも小規模な個体群が分布しているのが確認されています。
熱帯雨林を除く森林、サバンナや丈の高い草木のある草原などに生息しており、その中でも沼沢地や河川の周囲を好みます。群れを成すことはなく、単独棲で、木に登ることも多々ありますが地上棲の動物です。
昼間の気温があまり上昇しない時などには昼間でも積極的に活動することはありますが、元来夜行性です。狩りをする時にも利便性のある丈の高い草やしげみ、雑林などに身を隠しながら生活しています。
多様であるその食性に関して
主にネズミなどのげっ歯類や、小型の哺乳類、ハイラックス、鳥類、爬虫類、カエル、魚類、昆虫、時には小型のレイヨウなどと様々なものを食べます。ちなみに、ネコ科全般にいえますが、サーバルキャットは肉食獣ですが、ネコ科の中では珍しく果物を食べることもあります。
前述したようにサーバルキャットは優れた跳躍力をもっているため、狩りをするさいにはジャンプをするように茂みから飛び出していき、また、夜行性ではあるものの日中に活動することもあり、空中にいる鳥をも襲うこともあります。
地上棲であるが木登りも泳ぎも得意であるため、あらゆるものを食べ、多くの生息地においては食物連鎖の頂点近くに位置しているので外敵は極めて少ないです。
ただ、幼獣の頃は他の肉食獣や猛禽類の獲物として狙われることも多く、棲息地域が重なるハイエナやヒョウなどは天敵の一種と言えます。
子育てに関して
一夫多妻制で、決まった繁殖期は特になく、妊娠期間は10〜11週程で、一度に2〜3頭出産します。生まれたばかりの子供の体重はおよそ230〜260グラムで、3〜6ヶ月程の搾乳期間[07]生後2ヶ月弱くらいで母親が仕留めた獲物を口にもするようになります があります。
オスは子育てには関与せず、メスが一匹で育児を行います。岩の割れ目や草むらの中に巣穴を作ったり、空き巣になったツチブタやヤマアラシ類の古巣などに子供を置いて狩りにいき、自分で捕らえて弱らせた獲物を与えて狩りの練習をさせるなど、教育はシッカリと行います。
子供は巣穴で母親の帰りを待ちながら幼獣同士でじゃれ合って遊んだり眠りについて待っていることがほとんどです。生後10ヶ月にもなると自ら狩りを行うようになり、オスは一年ほどで独立しますが、メスはその後もしばらくは母親の元に留まり続けるそうです。
ちなみに、オスは縄張りをもちますが、縄張りの境界線はあまり厳格ではなく、また、メスはオスの縄張りの中を自由に行き来します。
最後に、飼育に関して
サーバルキャットは美しく、また幼獣の頃から人と触れ合っていると人に慣れ、懐いているようにもなるとさえ言われていることから飼育したいと思う人も多くいます。
しかしながら、乱暴な言い方になりますが、いかに可愛くてもサーバルキャットは猛獣の一種です。
力は強く、気性も荒く、殺傷能力も高いため、時には犬を殺すこともありますし、お子さんがいる家庭ではお子さんが襲われることも考えられます。
そういった危険性だけではなく、特定動物として指定されているため、気軽に部屋で放し飼いやよくある犬猫用のケージで飼育なんていうこともできず、飼育するうえでは金額だけではなく様々な問題があります。
それでもやはり飼育してみたい、という人は当サイトにもサーバルキャットの飼育について記事がありますのでそちらを参考にしていただければ幸いです。
もしくは、より現実的に考えるのであれば『サバンナキャット』を飼育する、ということのほうがいいかもしれません。サーバルとは異なるのは重々承知ですが、そうはいってもほとんど見た目がサーバルでより懐きやすく、場合によっては許可などを申請せずにも飼育できます。
サバンナキャットの詳細につきましてはこちらからご確認ください。
References
↑01 | 『けものフレンズ』という様々な生き物を擬人化したゲームがアニメ化し、ブームとなりました |
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↑02 | 元は18亜種でしたが、『Leptailurus serval serval 』が絶滅し、現在は17亜種と言われています |
↑03 | 毛色には個体差があり、極端な例ですが、まれに全身が真っ黒のものもいます |
↑04 | 土の中にいるネズミの動きも感知できると言われているくらい敏感で大きな耳をもっています |
↑05 | しかし、若い個体は人にも慣れるとも言われています。 |
↑06 | 隣接しているアルジェリアにも生息していたと言われていますが、現在では絶滅したと考えられています |
↑07 | 生後2ヶ月弱くらいで母親が仕留めた獲物を口にもするようになります |